【完全版】DCF法の計算手順や欠点を基礎からわかりやすく図解

https://str.co.jp/general/easy-to-understand-explanation-of-the-dcf-method



DCF法とは何か?

まず、DCF法の概要をコンパクトに説明していきましょう。ざっと大枠を掴むようにご覧ください。

DCF法のコンセプト

企業の中心は事業ですが、「事業の価値」はどのように考えるべきでしょうか?

1つの考え方として、その事業が生み出す将来のキャッシュフロー(収入)に注目するという方法があります。

事業が将来生み出すであろうお金を思い浮かべて、「将来においてこのお金を獲得する『権利』があるとすれば、現在はいくらの価値になるだろうか?」と考えます(下図)。

DCF法のコンセプト

その際、将来のキャッシュフロー(を得る権利)を現在の価値に換算します。この換算計算を「割引計算(Discount)」と言います(下図)。

DCF法のコンセプト

DCF法では、割引計算によって換算された「将来キャッシュフローの現在の価値」を合計して、それを生み出す事業の現在の価値と考えます(下図)。

DCF法のコンセプト

実際の企業価値というものは、社会貢献や環境配慮など、キャッシュフローにならない要素もありますが、DCF法においては「カネになるかどうか」だけをドライに見ていきます。

DCF法の名称について

「DCF」とは「Discounted Cash Flow」の略で、「割引計算されたキャッシュフロー」という意味です。日本語では「キャッシュフロー割引法」と言います。

なお、割引計算の対象となるキャッシュフローは、後述する「フリーキャッシュフロー」を用いるため、フリーキャッシュフロー法(FCF法)とも呼ばれます。

不動産鑑定でも使われている

今回は詳述しませんが、DCF法は不動産の価値を鑑定評価する際もよく使われています。つまり、株式や企業に限らず、資産全般を合理的に評価する際に活用される計算技法なのです。

DCFは「事業価値」を評価する

DCF法では、企業を「事業」と「事業以外の資産」に分解し、「事業」を上述の割引計算で評価します。「事業以外」のほうは、その資産単体の時価で評価します(下図)。

事業価値と非事業用資産価値

なお、株式の価値を計算するときは、企業価値から負債の価値(有利子負債の残高)を差し引いて計算します。なぜなら、企業全体の価値から、銀行などの債権者に返済すべきお金を返した残額が、純粋な株主の取り分だからです(下図)。

企業価値と株式価値の関係

企業価値や株式価値などの関係性については「企業価値、事業価値、株式価値…M&Aを巡る様々な価値の違い」にてより詳しく解説しています。

DCF法は「価値」を算出するもの

なお、DCF法は「価値」を算出するものであって、「価格」を算出するものではありません

「価格」と「価値」はまったくの別物です。「価格」は売買の際に売り手と買い手が交渉して合意した現実の取引額ですが、「価値」はその資産(株式等)を保有することによる便益(ベネフィット)です(下図)。

価格と価値の違い

価値は本来主観的なもの

なお、本来「価値」とは主観的なものです。プロ野球選手のサイン色紙が、多くの人にとってほとんど価値がなくても、そのファンにとっては宝物であるように、十人十色の価値評価があるはずです。特に、会社というものは誰が経営するかによって業績が変わるため、所有者ごとに価値がまったく変わります

とはいえ、そのような主観的なものを「適正な企業価値」と呼ぶわけにはいきません。。神のみぞ知る「万人が納得する客観的な企業価値」という概念に、高度な学術理論や仮説モデルを駆使して少しでも近づくのが企業価値評価というものです。

企業価値評価と値決めの違いはYouTube動画でも解説

DCF法などの企業価値評価はあくまで客観的な計算を志していますが、一方で値決めでは主観的判断こそが重要になります。つまり、企業価値評価の結果そのままを値決めに用いることはできません

その点の説明を解説した動画をYouTubeで公開しています。企業価値評価と値決めの違いを基礎からじっくりと解説していますので、ぜひ併せてご覧ください(6:58以降が該当箇所になります)。

絶対ダメ!M&Aの値決めでやってはいけないたった1つの勘違い

DCF法の基本的な考え方

では、DCF法の基本的な考え方を説明していきましょう。DCF法を本質的に理解する上で非常に重要ですので、しっかり理解してください。

DCF法を支える3つの基礎理論

まずは、DCF法が「学術理論上もっとも合理的」と評価されている理由を抑えましょう。DCF法は以下の3つの基礎理論に支えられています。

基礎理論1.モノの経済価値は「将来得られるキャッシュフロー」で決まる

DCF法では、モノを所有することの経済価値は、「将来得られるキャッシュフロー(純収入)」によって決まると考えます(このような考え方を「インカム・アプローチ」と言います)。

つまり、将来の稼ぎが少ない事業よりも、将来の稼ぎが多い事業のほうが価値があるということです(下図)。

DCFの基本理論1

DCF法では「将来の」キャッシュフローのみを評価の対象とします。工場の設備が古い場合、設備の処分価値が安いから価値が低いのではなく、将来の売上を生み出せなかったり、多くの修繕費や更新投資が発生して将来キャッシュフローが小さくなるから価値が低くなるのです。

マーケットアプローチとコストアプローチの限界

企業価値評価には、インカムアプローチ(将来の収入に着目する手法)以外に、マーケットアプローチ(類似取引事例に着目する手法)とコストアプローチ(製造原価に着目する方法)がありますが、それぞれ以下の欠点を抱えています。

アプローチ着眼点論理的欠点
マーケットアプローチ
(Ex.マルチプル法)
類似業種の取引事例から対象会社の価値を推定特定企業の競争力や業績成長見込を考慮することができない
コストアプローチ
(Ex.修正簿価純資産法)
対象会社の時価純資産から価値を推定のれんを合理的に評価することができない

コストアプローチにおけるのれん評価については、「営業利益の3~5年分」という説明がされることがありますが、これは論理的な裏付けのないナンセンスな実務慣行であり、企業価値評価(バリュエーション)としては機能していません。もっとも、「値決め(プライシング)」であれば論理的裏付けなど必要ないため、DCF法以上に活躍しているのも事実です。詳しくは「適正じゃないけど実際使える年買法(年倍法)の計算ロジックと運用法」にまとめています。

本記事を読み進めていただければ、インカムアプローチはロジカルに走りすぎて実態と離れすぎではないか?と感じると思います。それはそのとおりなのですが、「客観的で適正な企業価値」という神のみぞ知る概念に理論理屈で近づくうえでは、3つのアプローチの中で一番マシというのが実情なのです。

基礎理論2.将来の収入は「割引計算」で現在の現金価値に置き換えられる

DCF法の基礎理論の2つ目は、「割引計算」による「現在価値」の考え方です。少し難しい概念ですが、整理して考えていきましょう。

お金は時間とともに膨らむ

他人とお金の貸し借りをするとき、通常は「利子」を設定します。これは、お金の貸し借りとその時間に対して、借りた人が貸した人に払う当然の対価です。

たとえば、「100万円を貸すと、1年後に3%の利子がついて103万円で返ってくる」という約束があったとしましょう。この場合、現在の100万円と1年後の103万円は同じ価値ということです。(下図)。

DCFの基本理論2-1

言い換えれば、「1年後の価値は現在の価値の1.03倍」とも言えます。この年率3%の価値の増加を「時間価値」と呼び、年率のパーセンテージを「割引率」と言います。

現在の価値は逆算も可能

では、この時間価値を応用すると、1年後の300万円は現在のいくらと等価と考えられるでしょうか?

「1年後の価値は現在の価値の1.03倍」なのだから、「1年後の価値を1.03で割り算(割引計算)すれば、現在の価値が逆算できる」と考えます。つまり、

300万円 ÷1.03 ≒ 291万円

ということになります(下図)。

DCFの基本理論2-2

このような、将来のキャッシュフローを現在の経済価値で評価した金額を現在価値(PV / Present Value)と言います。

遠い将来の割引計算もできる

では同様に、「2年後の300万円」は、現在価値にするといくらになるでしょうか? 答えは、下図のように2回分の割引計算をすれば算出できます。

DCFの基本理論2-3

このように、必要な年数分の割引計算を繰り返すことで、遥か遠い将来のキャッシュフローも、現在価値に換算することができます

割引計算の一般公式

なお、上記の割引計算を一般公式で表すと、以下のとおりです。(覚えておく必要はありませんが、後で出てきます)

割引計算の一般公式

基礎理論3.「割引率」は投資のリスクによって変わる

DCF法を支える基礎理念の3つ目は、割引計算をする際の「割引率」は、投資のリスクに応じて変わるということです。

リスキーな投資ほど高いリターンが求められる

上述の例のように、「割引率」は、借金における利率のようなものです。つまり、投資に対する還元率(リターン)です。

当然ながら、失敗の確率が高いリスキーな投資ほど、高いリターンが求められます。例えば、競馬において勝てそうな馬は低いオッズ(当選時の倍率)でも買われますが、勝てる見込みが薄い馬は高いオッズにならないと、買う人が現れません(下図)。

リスクとリターンの関係性

同じように、リスキーな投資は高いリターンが必要とされますし(ハイリスク・ハイリターン)、手堅い投資であれば低いリターンでも成立するのです(ローリスク・ローリターン)。

なお、厳密には「リスク」は結果の不確実性を意味し、「リターン」は結果の期待値(期待リターン)を意味しますので、上記の競馬の例えは実は正確ではありません。あくまで話を分かりやすくするためのイメージとお考え下さい。

割引率=期待リターン=資本コスト

将来のキャッシュフロー(投資の成果)を現在価値に割り引く際に使われる「割引率」は、まさにこの「投資が成立する期待リターン」を意味します(この投資者から求められている期待リターンのことを「資本コスト」といいます)。

「割引率」「期待リターン」「資本コスト」の3つは、それぞれ違う意味の言葉ではあるものの、同じパーセンテージを指しています(下図)。

割引率と期待リターンと資本コストの違い

現在価値はリスクによって変化する!

高リスクと低リスクの投資では、求められる資本コストが異なるため、割引率も異なります。その結果、将来のキャッシュフローが同額でも、その現在価値は異なります(下図)。

投資リスクと現在価値の関係

基礎理論を企業価値評価に当てはめると・・・

DCF法では、上記の3つの基礎理論を用いて「事業の価値」を評価します。つまり、

事業が将来生み出すキャッシュフローを、事業のリスクに応じた資本コストで割引計算すれば、事業の現在の価値が算出できる!

という考え方です。

何ともロマンのない発想のようにも感じるかもしれませんが、お金を生み出すことを第一義とする事業の「経済的な価値」の測定としては、これ以上合理的な発想はないものと考えられています。

DCF法での将来キャッシュフローとは

DCF法で割引計算の対象となる「事業の将来キャッシュフロー」のことを「フリーキャッシュフロー(FCF)」と言います。

これは、事業によって稼ぎ出した純収入から、事業を維持・成長させるために必要な投資支出を差し引いた金額です。つまり、事業運営によって生まれる資金余剰を意味します。

フリーキャッシュフローは、事業収入を「営業キャッシュフロー」、投資支出を「投資キャッシュフロー」と呼び、以下の計算式で算出できます。

フリーキャッシュフローの計算式

なお、DCF法においては、営業CFに「支払利息」は含めません。支払利息は事業そのものの費用ではなく、事業を行うための資金調達に関する資本コストであるためです。

DCF法の評価期間は「永久」

なお、DCF法では、「企業は永久に続くことを前提とする」という考え方を採用しています(継続企業の前提)。そのため、「将来キャッシュフローは永久に発生し続ける」という前提で、永久分のフリーキャッシュフローを割引計算します。

DCF法の評価期間

この「企業が永久に続く」という概念が、しっくりこないという方は大変多いです。私も同感です。しかし、じゃあ20年で区切るのか、50年で区切るのか、100年で区切るのかと考えてみても、合理的な答えなどありません。結局のところ、「永久にするのが一番マシな仮説」ということになります。

割引計算なら「永久」の計算も可能

「永久の将来キャッシュフローを評価するなら、企業価値は無限に増え続けるのではないか?」と思った方もいらっしゃるでしょう。でも、実際にはちゃんと収束します。

割引計算では、遠い未来であればあるほど、将来キャッシュフローの割引現在価値は小さくなります。どんなに巨額のキャッシュフローを生み出すとしても、遠い未来まで考えれば、いつかは価値がほとんどゼロになります(下図)。

永久の割引計算

ザックリした仮定で「ターミナルバリュー」を計算

なお、永久のフリーキャッシュフローを割引計算するといっても、100年を超える期間のキャッシュフローを見積もって毎年分繰り返し計算するわけではありません。

実際のキャッシュフローの予測は3~5年分程度行い、それ以降の期間は「〇億円のフリーキャッシュフローが永久に続く」とか「毎年1%ずつ成長していく」といった仮定を置いて計算します。このようなザックリした仮定で計算される期間の価値を「ターミナルバリュー(TV/残存価値)」と呼びます。

ターミナルバリューの計算式「継続成長率モデル」

ターミナルバリューの現在価値は、以下の「継続成長率モデル」と呼ばれる計算式で算出されます。

継続成長率モデルの公式

たとえば、1年後のフリーキャッシュフローを1億円、割引率を10%、毎年の成長率(永久成長率)を1%とした場合のターミナルバリューは、11億11百万円と計算されます(下図)。

永久成長モデルの計算例

補足:継続成長率モデルの根拠

なお、補足として上記継続成長モデルの公式の根拠をご紹介します。専門家であっても空で証明できる人はほとんどいませんので、興味のある方のみざっとご確認ください。

継続成長モデルの証明

割引率(資本コスト)の求め方

では次に、DCF法における割引率の求め方を解説していきましょう。

DCF法の割引率は「加重平均資本コスト(WACC)」

まず、DCF法で使われる資本コストのことを「加重平均資本コスト(WACC/ワック)」と言います。

何が「加重平均」かというと、「株式投資に対する資本コスト」と「借金に対する資本コスト」の加重平均という意味です。これは、「会社が行った資金調達の全体に対する資本コスト」を意味します。

株式投資と借金では、資本コストは全然違う

資本コストは、「投資を受けている人が求められている還元率」ですが、この際に「どのような形式で投資を受けているか?」によって、求められる還元率は大幅に異なります。具体的には、その資金調達が「株式投資」なのか「借金」なのかで、以下のように異なります。

調達形態投資リスク資本コスト推定方法
自己資本
(株式投資)
会社が大儲けすれば多額の配当や売却益が得られるが、元本割れのリスクも大きいハイリスク投資のため、資本コストは大きい同業種企業の株式市場の分析から推計(後述)
有利子負債
(借金)
利率以上の還元は受けられないが、その分株式よりも優先的に返済されるため、リスクは小さいローリスク投資のため、資本コストは小さい約定利率(複数の場合は加重平均or直近値等)

2種類の資本コストを加重平均する必要がある

会社は複数の調達ルートで調達した資金を混ぜ合わせて事業に投資しているため、事業に求められる資本コストも複数のパーセンテージを混ぜ合わせて計算する必要があります。

具体的には、以下の計算式によって株式投資の資本コスト(自己資本コスト)と借金の資本コスト(負債資本コスト)を加重平均します(下図)。

加重平均資本コストの図解

上記の加重平均資本コストの算定図を一般公式にすると、以下のとおりです。

加重平均資本コストの公式

利息の節税効果

なお、上記の公式では、有利子負債の資本コストに( 1 – t )という調整を加えています。これは、有利子負債の資本コストから実効税率分を差し引く調整です。

有利子負債に対する資本コスト(つまり利息)を支払うと、その分利益が圧縮され、税金が減ります。これは言ってみれば資本コストの一部を国が肩代わりしているようなものですので、会社が負担する負債の資本コストは税率分だけ減ることになります。これを利息の節税効果と言います。

利息の節税効果

加重平均は「時価」で行う

なお、株式の資本コストと負債の資本コストを加重平均する際は、それぞれの「時価」で加重します。

有利子負債は、特別な事情がない限り元本以外の金額で売れることはないため、借入残高をそのまま時価と考えて問題ありません。一方で「株式の時価(株式時価総額)」は簡単にはわかりません。それを計算するためにDCF法をやろうとしているのですから、「鶏が先か卵が先か」という話になってしまいます。

そこで、実務的には、以下の方法を用いた加重平均割合を使います。

  • 評価対象会社が想定する自己資本・負債比率の目標値
  • 上場会社の場合、実際の株価から算出
  • 類似事業を営む上場会社複数社の平均値
  • 循環計算で収束させる

なお、上記の方法はどれが正解でどれが不正解ということではないのですが、どの方法を使うかで計算結果が大きく変わることがあります。

自己資本コストの計算方法(CAPM)

さて、DCF法にチャレンジする人が必ず躓くのが、自己資本コストをどのように算出すればよいか?という問題です。

この際、CAPM(キャップエム/Capital Asset Pricing Modelという推計モデルを使います。CAPMの計算式は以下のとおりです(下図)。

CAPMの数式

これだけ見せられても何がなんだかサッパリだと思いますので、以下で考え方だけ抑えておきましょう。

図解!CAPMの計算構造

CAPMのイメージを一言で表すと、「株式市場全体の資本コストを分析してから、②対象会社が市場全体に比べて何倍ぐらいリスキーな投資であるかを推定し、③その倍率に応じて資本コストを増やす」ということです(下図)。

CAPMの計算構造の図解

上図のとおり、CAPMは3つのステップで考えるとわかりやすいです。以下それぞれのステップを簡単に解説しましょう。

CAPMのステップ1.株式市場全体の資本コストを分析

CAPMの図解ステップ1

まず、株式市場が全体として、投資家からどれだけのリターンが求められているかを分析します。

資本コストには、「リスク関係なしに求められる部分」と、「リスクに応じて求められる部分」があります。リスクが大きいほど資本コストが高くなるのは、この「リスクに応じて求められる部分」が大きくなるからです。

分類名称内容測定方法
リスク関係なしに求められる資本コスト無リスク利子率
(リスクフリーレート)
時間の対価であり、すべての投資に同じように求められる。10年物国債の利回り
リスクに応じて求められる資本コストリスクプレミアムリスクの対価であり、投資リスクに応じて大きくなっていく。長期のTOPIX変動分析から推計

なお、10年物国債の利回りは財務省の国債金利情報[外部]などから簡単に調べられますが、長期のTOPIX分析には相当な時間とノウハウが必要なので、通常は経済調査会社から購入します。

CAPMのステップ2.株式市場全体と対象会社株式のリスク度を比較

CAPMの図解ステップ2

評価対象の株式が、「株式市場全体(TOPIX)と比較してどれだけリスキーな投資であるか」を推計します。このリスク度の倍率を現す係数のことを「β(ベータ)」と呼びます。

たとえば、TOPIXが1%下がったときに、対象会社株式が同じように2%下がれば、対象会社の株式は市場全体よりもリスキー(変動しやすい)ということになります。このように、TOPIXに比べて対象会社株式は何倍リスキーであるかを示すのが、β値です。

なお、対象会社が上場企業でない場合は、類似業種を営む上場会社数社のβ値を参照します。この際にどの上場会社を選び出すかによって計算結果が変わりますので、バリュエーター(企業価値評価をする人)のスキルが問われる判断になります。

β値自体はロイターなどが無料で公開していますが、類似業種から推定する場合は「アンレバード化/リレバード調整」と呼ばれる作業が必要です。

もっとも、個別企業の株価なんてちょっとしたイベントや不祥事、適時開示の積極性などによっても大幅に変動しますので、単純比較することには限界があります。このような不完全性はあるものの、それでもCAPM以外に合理的な仮説がないため、消極的支持として広くCAPMが使われています。

CAPMのステップ3.リスク度を市場の資本コストに織り込む

CAPMの図解ステップ3

最後に、市場のリスクプレミアムにβ値を乗じて、対象会社のリスクに応じた資本コストを算出します。そこに無リスク利子率を足せば、対象会社株式の資本コストが推計できます。

CAPMでは捉えきれない「サイズプレミアム」の加算

なお、非上場会社の企業価値評価を行う場合、サイズプレミアム(小規模企業リスクプレミアム)と呼ばれる調整が入ることが多いです。

上述のとおり、CAPMで非上場会社を評価する場合、類似業種を営む上場企業のβ値を参照します。しかし、いくら同じ業種を営んでいても、企業規模の大きい上場企業よりも、ずっと小さい非上場会社のほうが、投資リスクはずっと大きいはずです。

そこで、小規模サイズに対応すべく、資本コストを3~10%程度加算することが多いです(下図)。

サイズプレミアム

もっとも、3%と10%ではまるで計算結果が異なります。なぜこんなに幅があるかというと、サイズプレミアムを分析するための技法には定説が存在しておらず、様々な研究者が様々な説を提唱していることと、会社の規模感もかなり幅があるので、明確な答えが出せないことが影響しています。

プロのバリュエーターは、それぞれの調査会社や研究者の説のうち、どれが評価対象会社の実態に近いかを検討し、取捨選択してサイズプレミアムを決めています。

サイズプレミアムに関する現場のリアルな本音

外部リンクになりますが、「WACC計算におけるサイズリスクプレミアムの実務|バリュエーション職人のブログ〔外部〕」で、サイズプレミアムに関する現場感のある考え方が赤裸々に語られていますのでご紹介します。

上記リンクの最終章「サイズリスクプレミアムに対する個人的な見解」をお読みいただければわかるとおり、現実的には、計算結果を「評価者の直感」に近づけるための「言い訳」としてサイズプレミアムを理論的裏付けにすることも行われているのも事実です。

上記記事の筆者も「論理的に破綻している」と認める通り、根拠と結果が逆転した話だとは思います。しかし後述しますが、実際は極めて複雑な「事業の価値」という概念に、あり得ないほど単純化された計算モデルで近づくわけですから、実際には人間の感性のほうが信憑性が高いことは山ほどあるのです。

非常によい記事なのでぜひご一読いただきたいですが、以下の結びが現場の本音だと感じますので、引用させていただきます。

CAPMは、複雑な計算式を使うわけではなく、使い勝手は良いのですが、それが現実世界を表しているのかというと、疑問は大きい気がします。
ただ、「赤信号みんなで渡れば怖くない」というのと同じで、みんなが使っているから、という理由で使われ続けていると思います。

WACC計算におけるサイズリスクプレミアムの実務|バリュエーション職人のブログ

割引率にはバッファーを持たせる!

なお、資本コストはあくまでも「神のみぞ知る数値の推定」であって、単純化された仮説の上に仮説を重ねた思考実験的な側面が非常に強いです。本当のことなんて誰もわかりませんし、検証のしようもありません。そのため、DCF法の割引率には、プラスマイナス1%程度のバッファーを持たせるのが一般的です。

割引率に幅が出れば、計算結果にも幅が生まれます。そのため、下図のように企業価値に幅を持たせるのが一般的な企業価値評価レポートです。

株式価値の幅

上記の352~633百万円という企業価値評価を見て、「適正な価値を算定しているはずなのに、なんで倍近くも差が出るの?」と思う方も少なくありません。しかし、上場もしていない会社の株式価値を、株式市場の値動き分析から無理やり推定していくので、幅のない金額なんてまず出せません。

まぁ要するに、DCF法の企業価値評価なんて、所詮その程度の精度が限界ということです。現実問題として、DCF法の計算結果というものには、それほど意味はありません(別にこれをやっておけば良い会社を安く買収できるわけでもないですし)。計算過程における形而上学的なロジックづくりこそが、DCF法を使って企業価値評価することの意味であると言っても過言ではないと考えています。

上述のとおり、企業価値評価による計算結果の「幅」は、「計算結果の精度」を意味するものであり、「高く評価する人としない人の価値観の幅」を意味するものではありません。中小企業の株式なんて評価しない人(たとえば全然違う場所に住んでいる一般人)にとっては、1円の価値もありません。

DCF法で株式の価値を計算する7ステップ

では次に、DCF法で株式の価値を計算する流れを、順を追ってみていきましょう。具体的には以下の7つの手順を踏んで計算していきます。

  1. 数年分のフリーキャッシュフローを見積もる
  2. 割引率を設定する
  3. ターミナルバリューを計算する
  4. 毎年のキャッシュフローとTVを割引計算して合計する
  5. 非事業の資産や有利子負債を調整し、株価を算出する
  6. 必要な調整を加え、バッファーを持たせる
  7. 計算結果を見返して妥当性を考える

以下、計算例を示しながら、それぞれのステップを解説していきます。

ステップ1.数年分のフリーキャッシュフローを見積もる

DCF法は将来キャッシュフローを割引計算するものですので、毎年のキャッシュフロー予測がなければ始まりません。

具体的には、3~5年分の事業計画を作成し、必要な調整を加えてフリーキャッシュフローを計算していきます。損益の計画に、税金や各年の減価償却費や設備投資額などを調整することで、「設備投資後の獲得キャッシュフロー(FCF)」を計算できます(下図)。

企業価値評価の計算手順1

上図中の「EBIT」とは、事業に直接関係する税引前の利益を意味します。

FCF見積りはDCF法の土台!

当然ながら、事業の先行きを明るく見通すか、保守的に考えるかによって、計算結果は何倍も変わってしまいます。

企業価値評価者は対象会社から入手した事業計画を元に将来キャッシュフローを見積ることが多いのですが、評価される側の人間が出してきた事業計画を鵜呑みにするようでは論外です。単なる「目標予算」や「絵に描いた餅」を、デューデリジェンスなどを実施して適正な水準に引き直せない限り、マトモな企業価値評価などできるはずがないのです。

詳しくは後述しますが、この「将来をどう見通すか」が該当ビジネスのプロではない公認会計士などの判断にかかっている危うさが、DCF法を「胡散臭いもの」にしてしまっている要因のひとつです。

ステップ2.割引率を設定する

将来キャッシュフローを見積もれたら、次に割引率を設定します。以下では、プロが実際に行っている加重平均資本コストの推定手順をご紹介します。

推定手順1.CAPMによる計算

まずはCAPMの公式を用いて、サイズプレミアムを考慮しない場合の自己資本コストを計算します(下図)。

DCF法の計算手順2-1

推定手順2.サイズプレミアムを加算して自己資本コストを確定

上記で算出された6.5%という資本コストは、類似上場会社のβ値を参考にしたものですので、会社規模の差を考慮して資本コストを引き上げる必要があります。

今回は、サイズプレミアムを4.0%として計算します(下図)。

DCF法の計算手順2-2

推定手順3.資本コストを加重平均する

自己資本コストが決まったら、負債の資本コストと混ぜ合わせて加重平均資本コスト(WACC)を算出します(下図)。

DCF法の計算手順2-3

以上より、以下では8.7%の割引率を前提として計算例を進めていきます。

ステップ3.ターミナルバリューを計算する

割引率が決まったら、ターミナルバリューを計算していきましょう。

ターミナルバリューは、「永久」を前提とするためにかなりザックリした仮定で計算していきますが、実際には企業価値の大半を左右する重要な項目です。

TV計算手順1.予測期間以降のフリーキャッシュフローを概算する

まず、予測期間の最終年度のフリーキャッシュフローを参考に、最終年度以降の平均的な年度キャッシュフローを概算します。

DCF法の計算手順3-1

TV計算手順2.継続成長モデルで割り引く

上記で計算した予測期間以後の平均的フリーキャッシュフローを、継続成長モデルの公式で割り引きます(下図)。

DCF法の計算手順3-2

継続成長率(永久成長率)の設定の考え方

継続成長率(永久成長率)の考え方には諸説あります。

  • ゼロとして考えるのが最適
  • 長期の日本のGDP成長率を採用するのが最適
  • 無リスク利子率を採用するのが最適

低成長時代といってもGDPは数%でも増えていますので、この影響をまったく無視するのも不合理のような気がします。そのため経済成長率を採用するのも理論上は正しそうなのですが、たとえば高度経済成長期前からのGDP成長率の平均を持ってきても、現実感のある数字にはならないでしょう。

結局のところ、答えのないモノに理屈を付けて「理論上適正な価値」を出そうとしているだけですので、「いずれもある程度は適正で、ある程度は不完全」という結論にしかならないのです。

ステップ4.毎年のキャッシュフローとTVを割引計算して合計する

さて、毎年のキャッシュフローとターミナルバリューが揃いましたので、いよいよ割引計算をしていきましょう。

それぞれの年のキャッシュフローを、その年数分だけ割り引きます。このとき、「期末主義」と「期央主義」という2つの考え方があります。

DCF法の期末主義と期央主義の違い

DCF法の割引計算では、キャッシュフローを現在からその発生時点までの年数で割り引きます(下図)。

割引計算の一般公式

そのため、「キャッシュフローが1年のうちどのタイミングで発生したか?」によって、割り引く期間が微妙に変化します。主に以下の2つの考え方が主張されています。

考え方キャッシュフロー発生のタイミング
期末主義会社の決算は期末に締められるのだから、株主にとっては期末にキャッシュフローが発生すると考えたほうが理論上正しい。
期央主義事業のキャッシュフローは年間を通じて発生しているのだから、期の真ん中(6カ月目)で発生したと考える方が実態に近い。

個人的には期央主義のほうに軍配を上げたいと思っていますが、期末主義派のプロも少なくありません。こういった、専門家でも解釈がわかれる領域が非常に多いのもDCF法の問題点でしょう。

期末主義による割引計算

期末主義による割引計算では、毎期末までの年数で各年のキャッシュフローを割り引いていきます。ステップ3で計算したターミナルバリューは3年目末時点の価値ですので、これも割り引きます。

DCF法の計算手順4-1

期央主義による割引計算

期央主義の場合、期末主義から毎年の割引年数を0.5(6カ月/12カ月)減らして割引計算します(下図)。

DCF法の計算手順4-2

割引年数に小数や分数を使いますが、Excelなら簡単に計算できます。実践される際は「[Excel] 指数・べき乗|Excel VBA 数学教室〔外部〕」を参考にしてください。

期末主義と比べて4%ほど計算結果が増加しました。以降では、期央主義を採用して説明を進めていきます。

ステップ5.非事業の資産や有利子負債を調整し、株価を算出する

ステップ4で算出されたのは「事業価値」です。これを株価に換算するには、以下の調整を加えていきます。

  1. 事業価値に非事業資産等を加算して「企業価値」を算出する
  2. 企業価値から有利子負債を控除して「株主価値」を算出する
  3. 株主価値を発行済株式総数で割って「1株あたりの株価」を算出する

計算例は以下のとおりです。

DCF法の計算手順5-1

ステップ6.必要な調整を加え、バッファーを持たせる

上記で計算された1株あたり株価を基準として、以下の調整を加えます。

調整1.マイノリティディスカウントの検討

株式(議決権)を50%超持っていれば、経営に口を出せますし、経営者を替えることもできます。しかし、数%しか持っていない場合は、他人の決めた経営者と経営方針を変えることはできず、ただ経営の結果だけを受け取ることしかできません。

そのため、株式の保有比率が低い場合は、多い場合に比べて、1株あたりの価値も少ないと考えます。この価値の低下を反映するのが「マイノリティディスカウント」です。

株式の全部を評価する場合はマイノリティディスカウントを考慮しませんが、数%の売買を前提としている場合には、1.3で割り算することが一般的です。

この「1.3」という数値がどこから来たものか、正直私はよく知りません。特に根拠はないのではないかと感じています。

調整2.非流動性ディスカウントの検討

評価対象の株式が非上場である場合、「非流動性ディスカウント」という減額調整を加えることが一般的です。

これは、「上場株式であればいつでも簡単に時価相当で売れるが、非上場株式は簡単に買い手を見つけることができず、買い叩きに遭うリスクも大きい。よって、相当程度に価値が低いはずである」という考え方によります。

実務上は、30%程度の減額を加えることが多いです。

この「30%」という数値も、根拠はよくわかりません。ただ、みんな30%で計算しているから30%という慣行になっているように思います。

非流動性ディスカウントを巡る議論

ただし、「インカムアプローチの場合は直接的に類似業種の上場株価と比較しているわけではないので、非流動性ディスカウントを考慮するのはおかしい」という意見もあります。

実際、最高裁判所で非流動性ディスカウントを否定する判例が示されたこともあります(平成27年3月26日決定)。

この判例には、以下のように専門家からの批判も多い一方、支持する声も少なくありません。要するに、DCF法で非流動性ディスカウントを考慮すべきかどうかは、プロの間でも結論が出ていない問題ということです。

(参考外部リンク)
▶非流動性ディスカウントに関する判例の考察|プルータスコンサルティング
▶株式価値評価における非流動性ディスカウント・コントロールプレミアム|GCA FAS News

筆者の個人的見解と留意事項

個人的には、(30%という実務慣行が妥当かどうかはさておき)DCF法でも非流動性ディスカウントは考慮すべきだと考えています。β値の計算では上場会社を参照しますし(サイズプレミアムは企業規模に対する調整であって、上場/非上場の調整ではない)、DCF法自体が「効率的市場仮説」という「自由に売買できる前提」で作られている理論だからです。

ただ、重要な点は「専門家の間でも議論が分かれる調整によって、30%も評価額が変わる」という事実でしょう。DCF法は単純化された仮説を積み重ねて出来ていますので、計算結果もあくまで仮説にすぎません。元も子もないことを言えば、現実にそのまま当てはめること自体に無理があるとすら思います。

調整3.割引率にバッファーを持たせる

上述のとおり、DCF法は単純化された仮説の上に仮説を重ねて推定されたものですので、プラスマイナス1%pt程度のバッファーを設定して計算結果をぼかします。

これらの調整をすべて加えると、以下のような計算結果になります(下図)。

DCF法の計算手順6

ステップ7.計算結果を見返して妥当性を考える

最後の仕上げとして、計算結果が妥当な水準に収まっているか、感覚値と照らし合わせてチェックします。

もし「この結果は高すぎるのではないか?」「安すぎるのではないか?」という違和感を覚えるようであれば、以下のような調整を加えていきます。

  • 将来キャッシュフローを修正する
  • β値の推定で比較する上場企業を変更する
  • 無リスク利子率の算定方法を変更する
  • サイズプレミアムの判断を見直す
  • 負債・自己資本比率の設定を別の方法に切り替える
  • 継続成長率を見直す
  • マイノリティディスカウントや非流動性ディスカウントを見直す
  • バッファーの幅を広げる

以上のような項目を合理的な枠内(プロのバリュエーターとして説明責任を果たせる範囲内)で修正し、自分の感覚値に近づけていきます。

・・・まぁ、そんな感覚値を持っているのであれば、最初からDCF法なんて必要ないのでは?と思うかもしれません。それはそのとおりでして、結局は計算結果に意味があるのではなく、それを裏付けるロジックづくりにこそ意味があるのがDCF法だという意見は、そんなところから来ています。

感度分析!諸条件を変えるとこんなに変わる!

実際、上述の各計算過程において、少し諸条件(パラメータ)を変えたときに、どの程度最終結果が変わるのかを実験(感度分析)してみましょう。

感度分析1.売上高を保守的に見積もる

4年目以降の業績は「永久を前提とした平均値」という、合理的に予測するのもムリのある前提で考える必要があります。そこで、見積りを保守的に考えて、売上高を10%減らしてみましょう(下図)。

DCF法の感度分析1-1

すると、ターミナルバリューが大幅に減少し、株式の価値は30%以下にまで減ってしまいました

DCF法の感度分析1-2

「永久」を想定するターミナルバリューの将来キャッシュフローは、このような「保守的判断による調整」によって、計算結果がまるで違ったものになります。

感度分析2.継続成長率を1%とする

上述のとおり、継続成長率を1~2%で設定するプロのバリュエーターも少なくありません。試しに、ターミナルバリューを計算する際の継続成長率を1%として計算してみましょう(下図)。

DCF法の感度分析2-1

DCF法の感度分析2-2

今度は14.1%増加しました。プロのバリュエーターでも意見が分かれる考え方1つで、これだけ変わるということです。

感度分析3.サイズプレミアムを8%にする

小規模企業を評価する際のサイズプレミアムは3~10%で設定されることが多いです。上記の計算例では4%で設定してみましたが、試しに8%で設定してみましょう。

DCF法の感度分析3-1

DCF法の感度分析3-2

これによって約30%も価値が変わってしまいました。サイズプレミアムの選択は完全にバリュエーターに委ねられているところがあり、依頼者側が検証することは簡単ではないのですが、その判断によってもこれだけ結論が変わるのです。

DCF法のメリットとデメリット

まとめとして、DCF法のメリット(活用利点)とデメリット(欠点)について整理しておきましょう。

DCF法の2つのメリット(活用利点)

DCF法で企業価値を評価することのメリットを整理すると、以下のとおりです。

メリット1.もっともロジカルな企業価値評価が可能

DCF法は仮説の上に仮説を重ねている側面は大いにありますが、それぞれの仮説は経済学者が認めてきたものです。

どんなに運用上の穴があったとしても、全体として考えの方向性は確かにロジカルであり、神のみぞ知る「客観的で適正な企業価値」を論理的に考えようとすれば、この方法以外にはありません

メリット2.相当程度柔軟に計算結果を誘導できる

これは利点でもあれば欠点でもあるのですが、DCF法にはバリュエーターの匙加減次第で計算結果を大きく動かせるという特徴もあります。マルチプル法などもそれなりに匙加減の余地はあるのですが、DCF法はその比ではありません。

企業価値評価というのは、本来存在しないはずの「誰もが納得できる客観的な価値」を解き明かすものです。極端に言えば、感覚のほうが正しい、ということのほうが多いかもしれません。

感覚値に論理的な裏付けを持たせることが企業価値評価であるならば、柔軟に計算結果を誘導できるDCF法は、やはり便利な手法であると言えるでしょう。

DCF法の3つのデメリット(欠点)

DCF法は論理的には適正かつ便利な一方で、以下のような実務上の限界を抱えています。

デメリット1.ロジカルに走りすぎて直感的に納得できない

企業価値評価の結果が取引の交渉材料となるには、取引の当事者(売り手・買い手)が十分納得できる計算過程を持っていなければなりません。この意味では、DCF法は最悪の企業価値評価技法です。

「企業価値は将来キャッシュフローを割引計算したものである」という点は多くの方がなんとなく理解できると思いますが、「将来キャッシュフローはどうやって見積るのか?」「CAPMとは何か?」「事業永続を前提とする評価は正しいのか?」まで、当事者同士のコンセンサスを得ることはほぼ不可能です。

実際、DCF法が支持される理由については、専門家でも「一般的な手法です」「もっとも合理的な手法とされています」「あのウォーレン・バフェットも認めています」など、意味不明な説明を行っていたりします。それだけ、直感的に納得させるのが難しく、何らかの権威性に頼らざるを得ないということでしょう。

デメリット2.柔軟な調整が利きすぎて信憑性・客観性が低い

「客観的で適正な価値評価」であるならば、建前上は誰が計算しても同じ結果が出なければいけないはずです。しかし、DCF法はバリュエーターの匙加減が大いに利くので、それとは程遠い結果になります。

これは、結局のところ「DCF法なんて信用できない」という印象に繋がります。実際、DCF法で計算した結果を基に価格交渉を行っても、相手が「DCF法の計算結果なんていくらでも操作できる」という事実を知っている限り、単なる誘導だとしか思われません。

この点は「M&Aでの『適正価格』は情弱誘導の虚構ってことがスッキリわかる話」という記事でも解説していますので、併せてご覧ください。

デメリット3.「所説あり」が多すぎて不安定

DCF法は「最先端だが、未完成の理論」に成り立っています。色々不備はあるけど、一番マシだからこの方法を使うというのが偽らざる実情です。

サイズプレミアムはいくらが最適なのか、継続成長率はゼロにすべきなのか、期末主義と期央主義はどちらが適正なのか、非流動性ディスカウントは考慮すべきなのかなど、専門家の間でも意見が割れている問題は山ほど存在します。それらはいずれも正解で、いずれも不完全です。

どんなに中立性が高く腕のいいバリュエーターに企業価値評価をしてもらっても、争いが生じる余地は山ほどあります。価格を巡る裁判になったら、DCF法を用意していないよりマシなのは間違いないにせよ、どう転ぶかわかりません。つまり、DCF法はもっともマシとはいえ、なお不安定なのです。

そう言ってしまうと、そもそも企業価値評価なんて何のためにやるのか?という疑問にもなりかねませんが、残念ながらこれもまた現実ということです。

結局のところ、「価値」なんてそんなもの

本記事は、初心者の方にもDCF法の本質的な理解を深めていただくとともに、その限界や問題点もしっかり理解していただき、DCF法を適切に活用していただくために不可欠な知識を説明してきました。

結論として、DCF法はもっとも論理的でありながら、多くの限界や不完全性を抱えています。

しかし、価値というものはそもそも主観的なものであって、誰もが納得する客観的で適正な価値評価なんて、本来は存在しないはずなのです。そのような神のみぞ知る価値に論理の力で近づこうとするので、やはりどこまでも不完全にならざるを得ないのでしょう。

繰り返しになりますが、結局のところ、DCF法の計算結果そのものに意味があるのではなく、その結果に論理的な裏付けを作り出すことにこそ、DCF法の意味があると考えています。

실제로 국내 주식종목 하나를 택하여 CAPM을 계산해보도록 하겠습니다. 선택종목은 '현대차(005380)'입니다.

무위험수익률 계산

이전 포스팅에서는 수익률의 안정성을 이유로 대한민국 국채보다 만기 10년 이상의 미국국채를 사용하는 것이 낫다고 말씀드렸습니다만, 사실 미국 기준으로 계산하면 국내 값으로 CAPM을 적용하는데 추가적인 과정이 필요하여, 대한민국 국고채(3년)를 기준으로 하는 것이 실무적으로는 더욱 편리할 것이라고 판단합니다.
 
국고채(3년)의 연간 수익률은 '한국은행 경제통계시스템(http://ecos.bok.or.kr/)'에'%EC%97%90) 접속하시면 검색가능합니다. '주제별 통계'에서 '4.1.2 시장금리' 카테고리로 들어가면 국고채(3년)에 대한 연간 수익률을 검색할 수 있습니다. 본 시스템에서는 1995년 수익률부터 제공을 하고 있네요. 그리고 검색결과에서 우측상단메뉴에 보면 다운로드도 제공합니다. (이럴 때는 IT 강국)

검색기간은 2000년부터 2015년까지 총 16년간으로 설정했습니다. 검색결과를 정리한 표는 아래와 같습니다.

검색은 2000년부터 했지만 실제 적용은 2001년부터 하도록 합니다. 2000년말에 채권을 매입하여 2015년말까지 보유했을 때의 수익률을 계산하기 위함입니다. 2000년말에 100원어치의 채권을 매입하여 연도별 수익률을 적용하면 2015년말에 182원이 되어 있습니다. 기간전체로는 82%가 올랐지만 연도별 평균수익률을 구하기 위해 기하평균을 적용합니다. 산술평균은 사용하지 않습니다.
 
엑셀의 geomean 함수를 이용하면 산술평균을 쉽게 구할 수 있습니다. 즉, 국고채(3년)에 투자할 경우 연평균 3.83%의 수익을 기대할 수 있으며, 이 값이 무위험수익률(Risk Free Rate)입니다.

시장수익률 계산

시장수익률은 무위험수익률을 대한민국 국채로 지정하였고, 현대차가 KOSPI 상장기업이니 KOSPI 지수를 기준으로 계산합니다. KOSPI 지수와 기타 주식의 종목별 시세 등은 '한국거래소(http://www.krx.co.kr)'에'%EC%97%90) 가면 검색가능합니다.

국고채와 마찬가지로 KOSPI 지수도 2000년부터 2015년까지 연말종가를 검색합니다. 2000년말에 KOSPI 지수상품을 매입하여 2015년말까지 보유했을 때의 수익률을 구하기 위함이죠.

2000년말에 KOSPI 지수상품을 100원어치 매입하여 보유하면 2015년말에 389원이 되어 있네요. 마찬가지로 기하평균을 사용한 연평균 수익률을 구하면 8.86%가 나옵니다. 그리고 이 숫자를 시장수익률(Expected Return of Market)로 사용합니다.

베타추정

베타값이란?

베타값은 개별주식 수익률과 시장 수익률을 회귀 분석으로 계산한 값으로써, 개별주식의 수익률이 시장수익률의 변동에 얼마나 민감하게 반응하는가를 나타내는 수치입니다.
 
쉽게 말해, 시장 수익률이 10% 올랐을 때 개별주식의 수익률이 5% 올랐다면 해당 주식의 베타값은 0.5가 되는 것입니다.
 
위 사례에서 시장 변동에 크게 영향을 받지 않는 생필품을 주 수익원으로 하는 LG생활건강의 경우 52주 동안의 평균 베타값이 0.54로써 가장 낮은 수치를 보입니다. 반면, 52주 베타값이 1.68인 CJ CGV는 시장변동에 크게 영향을 받는다고 판단하면 쉽습니다. 쉽게 말해, 코로나 사태와 같은 시장의 악조건 속에서도 치약과 세제 같은 생필품의 소비는 변동이 없지만, 영화관과 같은 여가생활에는 돈이 잘 풀리지 않는다는 것입니다. 물론 CJ CGV의 베타값에는 대중이용시설이라는 변수도 반영되었을 입니다.
 
베타값이 높은 업종으로는 전기전자, 금융, 의료 분야 등이 있으며 베타값이 낮은 업종으로는 화학, 전력, 광물, 음식 등 경기 변화에 둔감한 방어주들이 있습니다.

베타값이 중요한 이유?

베타값은 본인의 투자 성향(공격적 성향, 방어적 성향)에 맞는 종목을 결정하는 데 도움을 줍니다.

공격적 성향의 투자자에게는 베타값이 높은 종목이, 방어적 성향의 투자자에게는 베타값이 낮은 종목이 걸맞습니다.

베타값의 특징은?

  • 측정기간, 측정간격 등에 따라 다른 결과가 도출됨베타값은 경향, 추이, 추세일 뿐이지 정확한 사실은 아니다.
  • 항상 양의 값이 나오는 것은 아님풋옵션, 인버스 ETF, 금 값 등은 음의 베타값을 갖는다.

베타값을 산출해보자: 현대차의 예

보통 52주 베타값이라면 네이버 금융에서 정보를 얻을 수 있습니다만, 실제구해보도록 합시다.
 
레버리지 등 베타와 관련된 많은 내용이 있으나, 실질적으로 베타를 계산하는 것은 비효율적이라고 할 수 있고, 일정기간의 데이터를 가지고 회귀분석을 하는 것이 효율적입니다. 효과도 나쁘지 않을 것으로 예상되구요.
 
베타를 구하는데 있어서 다음의 원칙을 지키는 것이 중요합니다.

  1. 회귀분석을 위해 최소 60개 이상의 데이터를 이용해야 합니다.
  2. 회귀분석은 월간수익을 바탕으로 해야합니다.(최소 60개 이상의 월간 수익은 최소 5년분 이상의 데이터를 의미하게 됩니다) 일간 또는 주간 수익률과 같은 단기간의 수익률은 거래주식수의 유동성에 따라 왜곡을 발생하기 때문입니다.
  3. 시장 전체의 수익률은 MCSI 세계지수와 같이 가치로 가중평균되고 잘 분산된 포트폴리오에 대해 회귀분석 되어야 합니다. KOSPI지수와 같은 현지 시장 지수는, 한국이 집중하는 소수 산업에 큰 비중을 두고 있어서, 시장 전체에 대한 수익률이 아닌 특정 산업에 대한 수익률을 추정하는 오류를 범할 수 있습니다.

이번 실증에서 사용할 데이터는, 현대자동차의 일간 수익률과 코스피의 일일 수익률입니다. 월간 데이터가 더 왜곡이 적음에도 불구하고 일간 데이터를 사용하는 것은 오직 데이터 취득의 간편성 때문입니다. 또한 MCSI 지수가 아닌 코스피 전체 수익률을 사용하는 것도 같은 이유입니다. 코스피 전체 수익률은 종목별 가중평균이 되어 있지 않기 때문에 부정확한 시장 수익률데이터 입니다.
 
2015년 5월 1일부터 2016년 4월 30일까지 검색을 하시면 일일 종가가 나오고 엑셀로 다운로드가 가능합니다. 그리고 일일 종가를 기준으로 일일 수익률을 계산하고 KOSPI의 일일 수익률을 가로축에, 현대차의 일일 수익률을 세로축으로 하는 분산형 그래프를 그립니다. 그리고 그 분산형 그래프에 선형추세선을 넣고 수식을 차트에 표시하면 아래와 같습니다.

회귀식이 보이는데 그 중 기울기인 '0.7539'가 베타가 되겠습니다. 기울기의 의미를 해석하자면 '시장수익률(X축)이 1% 변했을 때, 현대차(Y축)의 수익률은 0.7539% 변한다'는 것으로 KOSPI와 현대차 간의 일반적인 수익률의 상관관계를 나타낸다고 볼 수 있습니다. 그리고 그러한 상관관계가 곧 '베타(β)'이구요.
 
베타값이 상당히 낮게 나옵니다. 지난 1년간 현대차의 주가는 KOSPI의 변동과는 상관없이 어느정도 일정하게 유지가 되었다고 볼 수 있으며, 그리고 그러한 주가의 유지는 각 레버리지의 영향을 받았을 것으로 추정됩니다만 실제적인 영향력은 다음에 기회가 되면 알아보도록 하겠습니다.

차입베타 (Levered Beta) 그리고 무차입 베타 (Unlevered beta): 오뚜기의 예

위에서 구한 방식은 차입베타 Levered Beta라고 불리며 이는 회사의 자본 구조, 즉 부채와 관련된 재무 위험까지 반영함을 의미합니다. 반대로 레버러지 없는 베타 (Unlevered Beta) 는 자본 구조에 부채가없다고 가정합니다. 그러니 자연스럽게 부채의 대한 추가적 위험성때문에 Levered Beta 가 Unlevered Beta보다 큽니다.

부차입 베타 (Unlevered beta)는 차입베타에서 부채관련된 리스크를 제외한, 순수 주식 위험성을 나타내는 수치입니다. 그 회사의 표준베타와 자본구조만 있다면, 밑에 공식을 이용해 레버러지 없는 베타 (Unlevered Beta)로 전환할수있습니다.

무차입(Unleverd)베타 = 차입베타÷( 1 + ((부채/시장가치) × (1 - 법인세율))

베타 (Beta)금융 모델링 순서

  1. 가치평가하는 회사와 유사기업의 차입베타 (Levered Beta) 를 각각 구합니다
  2. 각 회사의 자본구조를 이용하여 무차입 베타 (Unlevered beta)를 유추한 뒤, 유사기업의 레버러지 없는 베타의 평균값을 구합니다. 또한 유사기업의 자본구조의 평균값을 구합니다.
  3. 2단계에서 구한 레버러지 없는 베타와 자본구조 평균값을 이용하여, 다시 표준베타 (Levered Beta)로 전환시킵니다. 여기서 나온 표준베타를 위에 CAPM공식에 대입해서 사용하시면 됩니다.

위에 그림을 보시면, 오뚜기 및 유사기업의 베타계산 관련된 정보가 다 입력되있습니다. 공식을 사용해 차입베타를 비차입 베타로 바꾸는 작업을 하였습니다. 예를 들어 오뚜기의 무차입베타 0.16은 다음과 같이 계산하였습니다. 다른 유사기업들도 똑같은 방식으로 무차입베타를 구해줍니다.

* 오뚜기 무차입베타 계산예제

무차입(Unleverd)베타 \= 차입베타÷(1+((부채÷시장가치) × (1 \- 법인세율)) 0.16 \= 0.19 ÷ (1+(25.5% \* (1\-25%))

오뚜기 및 유사기업의 비차입 베타를 종합적으로 봤을때, 중앙값 0.25를 사용할 것이고, 앞으로 오뚜기의 부채/시장가치비율은 86.1%라고 가정할것입니다. 이번에는 무차입베타를 다시 차입베타로 변환시키는 작업을 해줘야합니다. 처음에 무차입베타를 계산한 이유는, 부채와 상관없이 순수 주식관련 위험성을 측정하기 위해서였고, 그것이 0.25입니다. 다시말해 오뚜기가 종사하는 식품업 회사산업군이 가지는 마켓변동위험성은 0.25입니다 (부채를 제외한 리스크).
 
그리고 평균적으로 이 업계회사들이 보여주는 자본구조, 즉 부채/시장가치 비율은 86.1% 네요. 장기적으로 봤을때, 오뚜기의 자본구조도 이렇게 식품회사들 평균값으로 수렴한다고 가정하고 86.1%라고 할 것입니다. 이렇게 유사기업의 평균값을 목표값으로 (베타, 자본구조, 등등) 잡는것은 월스트리트 업계에서 흔히 볼수있습니다.
 
하지만, 실제 M&A에 프로세스에서는 회사의 CFO와 경영진들이 회사의 장기적 최적의 자본구조를 알려줍니다. 그럼 그것을 사용하시면 되요. 하지만, 그런 프로젝트가 아니라면 유사기업의 평균값을 벤치마킹하여 유추하는 것도 괜찮습니다.
 
오뚜기 차입베타= 무차입(Unleverd)베타×(1+((부채÷시장가치) × (1 - 법인세율)) 0.41 = 0.25×(1+(86.1% × (1-법인세율))위에 공식을 따라서 계산하면 오뚜기의 차입베타는 0.41입니다.

CAPM방정식 적용

지금까지 우리가 알아낸 것들은 다음과 같습니다.  

무위험수익률 : 3.83%
시장수익률 : 8.86%
베타 : 0.7539

그리고 이 값을 아래의 CAPM 방정식에 대입하도록 하겠습니다.

현대차의 CAPM 결과, 즉 현대차 주식에 대한 주주의 요구수익률은 7.62%로 계산되었습니다.

'7.62%'의 의미와 사용

7.62%로 계산된 요구수익률은 무슨 의미를 가지며 어떻게 사용될까요?
 
우선 투자자가 현대차 주식을 매입할 경우, 연간 7.62%의 수익률을 기대한다는 것입니다. 주가가 연간 7.62% 올라야 기대에 충족한다는 것은 경영진에게 압박이 될 수 있습니다. 투자자에 대한 의무이기 때문이지요. 간단하게 이야기하면 16/05/12 종가인 136,500원으로 현대차 주식을 매입한 투자자는 1년 후인 17/05/11에 적어도 주가가 147,000원(+7.69%, 500원 단위)이기를 기대한다는 것이고 회사는 그 주가를 달성해야만 한다는 것이죠. 1년에 7.69% 증가한 10,500원의 주당이익이 매우 작고 보잘 것 없어 보이시진 않을거라 생각합니다. 현재의 경기침체 등 시장상황을 고려하면 매우 공격적인 수익률이라고 할 수 있겠죠.
 
또한 새롭게 국내 자동차 시장에 진출하고자 하는 기업의 사업타당성 검토나 현대차 내부의 프로젝트 검토 시에 자기자본비용으로 사용될 수 있습니다. 엄밀히 따지면 내부유보이익을 통한 투자일 경우의 자기자본비용이겠지요. 새로 진출을 하거나 신규 프로젝트에 투자하는 행위에 대한 기회비용은 그 돈으로 현대차 주식을 사는 것입니다. 따라서 7.62%는 프로젝트의 할인율이 될 수 있고, 적어도 기업은 그 이상의 수익률을 달성할 수 있어야만 프로젝트를 시행에 옮길 수 있죠. 수익률이 그 이하/미만으로 나오면 그냥 프로젝트 접고 현대차 주식을 사는게 낫다는 의미입니다.
 
CAPM을 실제로 계산을 해봤습니다만, 사실 국내숫자는 사용하기 편하다는 장점이 있지만 숫자가 갖는 신뢰성과 안정성에는 의문부호가 붙는 것이 일반적입니다. 전세계적으로 봤을 때 대한민국의 주식/자본시장은 이머징마켓으로 분류가 되고 있고, 기관/외국인 세력의 선택에 따라 수익률이 왔다갔다 하기 때문이죠. 따라서 엄밀하게 따져보자면 미국 국채수익률을 이용하고 S&P500지수를 이용하고 미국내 자동차산업의 평균 베타와 평균 부채비율을 계산하여 현대차의 베타를 재계산하고, 이머징마켓에 대한 숫자조정(람다(λ)라든가 CDS(Country Default Spread) 등)을 통해 구해야겠으나, 또 그렇게 하는 것이 정론이긴 하지만. 데이터를 모으고 숫자를 계산하는 것 자체가 어렵죠.
 
그리고 어려운데 반해 프로젝트나 기업 가치평가를 하기 위한 작업(DCF 기반)을 한다면 실제적인 평가액은 CAPM 결과가 아니라 이익 성장률에 더 큰 영향을 받기 때문에 CAPM에서의 단 몇 % 차이는 대세에 영향을 끼치지 않기도 합니다. 그래서 그냥 쉽게 국내숫자를 이용하는 것이 효율적이라고 할 수 있는 것이구요.
 
물론 가치투자를 하고자 하는 개인 투자자라면 시간과 노력이 더 들어가더라도 CAPM을 좀 더 정밀하게 계산하는 것이 좋겠지만 말이죠.

출처

DCF Vs Multiples: The Omniscient Analyst

Ezio Lauro
Quantitative Analyst | Math PhD student | MBA | Chartered Civil Engineer

The aim of this article is to show that one single approach to valuation of a project is, often, not enough. When assessing a project, it is indeed very important to use a comprehensive attitude, i.e. a combination of the quantitative, qualitative and chartist methods to take account of information and events, behavioral finance and historical data that should, altogether, form a solid base to the quantitative method. We will see that founding quantitative decisions on qualitative information ensures in most cases that inflexion points (a turning point after which a dramatic change, with either positive or negative results, is expected to result) in history are taken into account in the valuation. Companies, industries, sectors and economies are dynamic and constantly evolving, thus a purely quantitative approach (as suggested by Markowitz in 1955) is not exhaustive and might provide results that, although mathematically correct, ignore pivotal aspects of the valuation.

Three companies operating in the EU telecommunication industry will be analysed using the Discounted Cash Flow, DCF, and industry Multiples methods. It will be shown that using a comprehensive approach to perform a valuation with multiples might lead to results similar to the more complex DCF methods.

Methodology

The telecommunication industry has been chosen as it is believed that it provides a true theoretical representation of the general market trend as it has today evolved to a hybrid between the conservative and defensive traits of commodities and the development and high growth of the technology industry. Three major European players, Vodafone AirTouch (UK) Mannesman AG (Germany) and Telecom Italia (Italy), have been analysed from the year 2000 to 2005, an important period for the European market which also saw an increase in M&A activities in the continent (Source: Bloomberg); a “back analysis” will be performed, where I will be acting as omniscient analysts who own the knowledge and information that might impact the valuation in the time range chosen. This approach will ensure a more accurate outcome as it is based on projections made on well-known events of the past rather than normal future projections, where inaccuracies might result in distortion and therefore unreliable results. The analysis has been limited to the telecommunication activities of the three companies only.

The Discounted Cash Flow, DCF, and Multiples methods have been used. The table in the Limitations section shows pros, cons and specifics of each method.

Discounted Cash Flow

The DCF method estimates the attractive of a business opportunity by analysing future cash flow projections and discounting them using, in this case, the Weighted Average Cost of Capital (WACC) to obtain a present value. The formula used is:

Given the characteristics of the industry, e.g. high capex and depreciation/amortization, Free Cash Flow has been used to ensure more reliable cash flow figures.

Discounted cash flow models are powerful, but they do have shortcomings. DCF is merely a mechanical and quantitative valuation tool, subject to the axiom "garbage in, garbage out." Small changes in inputs can result in large changes in the value of a company. In particular, assuming that the cash flow projections are realistic, growth and discount rates have the bigger impact on the final outcome.

Multiples

Valuation multiples are the quickest way to value a company, and are useful in comparing similar companies (comparable company analysis). They attempt to capture many of a firm's operating and financial characteristics (e.g. expected growth) in a single number that can be multiplied by some financial metric (e.g. EBIT or EBITDA) to yield an enterprise or equity value. Multiples are expressed as a ratio of capital investment to a financial metric attributable to providers of that capital.

One very important point to note about multiples is the connection between the numerator and denominator. Since enterprise value (EV) equals equity value plus net debt, EV multiples are calculated using denominators relevant to all stakeholders (both stock and debt holders). Therefore, the relevant denominator must be computed before interest expense, preferred dividends, and minority interest expense. On the other hand, equity value multiples are calculated using denominators relevant to equity holders, only. Therefore, the relevant denominator must be computed after interest, preferred dividends, and minority interest expense.

Multiple valuation, finally, captures the mood of the market, a variable mostly ignored with the DCF method.

In this case, given the industry characteristics, it has been decided to use two Enterprise Value Multiples: EV/EBIT and EV/EBITDA. The two ratios should offset distortion resulting from high depreciation and amortization.

Industry median (more accurate than average) have been used to calculate the EV:

What will be different in this case from a normal analyst’s work, is the use of normal (t=0) and forward (t=3 and t=5) to take into account qualitative and chartist information when choosing the right EBIT or EBITDA value to compare with the DCF results.

Limitations

A summary of the pros and cons of both methods is shown below.

Furthermore, it has been assumed that the reader has knowledge of valuation principles, accounting methodologies, industry and market trends of the period analysed.

For Vodafone and Mannesman, analysts’ projections made in 1999 (in sight of a potential acquisition by Vodafone) together with annual reports and macro economical and market information have been used. For Telecom, annual reports together with macro economical and market information have been used and adjusted where necessary.

Data Sample

Table 1 below shows the projections made from 2000 and 2005 based on the information available at the time and on a “look forward approach” to future events that have impacted the three firms. In particular, given the high growth of the EU market, similar beta, risk free and growth rates have been used for Vodafone and Mannessman. For Telecom Italia, instead, a lower growth rate and higher risk free rate and premium have been used to reflect the limited geographical operations (mostly in Italy for the telecommunication business) and therefore the impact of the poor performance of the country on Telecom’s WACC and growth.

Table 1: Vodafone, Mannesmann and Telecom financials in £mil. GBP/EUR Exchange rate at 31/12/2000 is 1.6.

DCF Method- Results

The discount rate used in the DCF method is the WACC, calculated using the formula below and variables in Table 2 (Vodafone and Mannesman) and Table 3(Telecom).

Note that the cost of equity, kE has been obtained using the Capital Asset Pricing Model, CAPM.

As mentioned, given the EU operations, similar values have been used for Vodafone and Mannesman while, because of the operations limited to Italy only, Telecom WACC calculation is based on values that capture better the macroeconomic situation of Italy. Also the higher tax shield as a result of higher leverage of Telecom is reflected in the WACC results.

Using the WACC, the Terminal Value and finally the Enterprise Value can be calculated as follows:

The growth rate g after 2005 has been taken as 3% for Telecom and 4% for Vodafone and Mannesman.

The resulting Enterprise Value, EV, as of year 2000 and using the DCF methods are:

Table 4: Enterprise Value using the DCF model, £Mil


Multiples Method- Results

As mentioned, two EV multiples have been used, with EU median values shown below:

Table 5: EU median for EV based multiples (Source: Damodaran)

Table 6 and 7 show EBITDA and EBIT for the three firms. The values are based on public information including companies’ annual reports.

Table 6 and 7: Vodafone, Mannesmann and Telecom EBIT and EBITDA in £mil


Using the multiples in Table 5 and the earnings in Table 6 and 7, we can calculate the normal and forward EV using EBIT and EBITDA for the years 2000 (t=0), 2003 (t=3) and 2005 (t=5).

Table 8: Vodafone, Mannesmann and Telecom normal, forward +3 and forward +5 EV in £mil

Analysis and Conclusions

No alt text provided for this image

Table 9: Vodafone, Mannesmann and Telecom EV comparison

The results obtained with the DCF and Multiples valuation models are summarised in Table 9. Each color identifies similar values between DCF and EV/EBIT or EV/EBITDA per company analysed, and in particular:

Vodafone: the closest value is EV/EBIT Normal (-6%). This reflects Vodafone being in line with industry sentiment and high growth of the technology sector, and perhaps a too optimistic projection in view of the potential acquisition of Mannesmann.

Mannesman: the closest value is EV/EBITDA Forward +3(-13%). Depreciation and amortization might create here some distortion given that Mannesmann group operates in the engineering and automotive business as well, therefore using the EBITDA multiple is more appropriate. Furthermore, the choice of a forward multiple is fine, knowing about the Mannesmann acquisition of Orange and improvement in profits and cash flow in the medium term.

Telecom: closest value is EV/EBIT forward +5 (very close). Improvement of technologies (ADSL) including TIN (Telecom Italia Network) and TIM (Telecom Italia Mobile) and international acquisition (in particular in South America) have shown a good growth in the early 2000s, perhaps more than expected and therefore the use of a “forward” multiple is in this case accurate.


It has been demonstrated how past, present and future information impact the valuation with multiples, especially how the use of “forward” multiples leads to results that are more comparable to the DCF method. In particular, qualitative information improved the final multiples EV of two companies (Mannesmann and Telecom) that had, by knowledge, a more volatile trend in those years, thus demonstrating the applicability of “forward” multiples in similar circumstances.

When valuating a project, we should always remember that a valuation is not an objective search for a true value, and furthermore the simpler is the model the better it is in terms of both output and general understanding. The analyst has therefore the task to use his perception, understanding and market knowledge to give a real-world meaning and applicability to otherwise purely theoretical values.


DCF를 통한 가치평가란?

DCF method는 절대적 가치평가의 한 방법입니다. 기업 활동이 영원히 계속될 것(영구기업)이라는 가정 하에 기업이 매년 발생시킬 현금흐름(Free Cash Flow;FCF)을 바탕으로 기업의 가치를 평가합니다. 그렇기 때문에 몇 배정도의 기대감을 받는지를 바탕으로 하는 상대적 가치평가인 PER, PBR과 달리 절대적 가치평가에 해당합니다.
 
한마디로 요약하자면, 'DCF를 통한 기업가치 = 자기자본 + 매년 현금흐름의 현재가치합' 이라고 할 수 있습니다.
 
기업의 최종적인 EV를 구하기 위해서는 DCF를 통한 기업가치에 자기자본을 가산해주어야 합니다. 상기 DCF과정을 통해 도출된 가치를 영업가치(Business Value)라 하며, 여기에 잉여현금 및 비영업용 자산 보유액 등을 합산하면 기업가치(Enterprise Value)가 됩니다. 또 이 기업가치에서 차입금을 차감하면 지분가치(Equity Value)가 도출됩니다.
 
예를 들어 간단히 설명드리면, 미래 20년 동안의 추정 현금흐름을 할인한 현재가치 합계가 900이고, 20년 이후의 잔존가치의 현재가치가 100이면, 이 회사의 영업가치(Business Value)는 1,000이 됩니다. 그런데, 이 회사가 현재 잉여 현금 100, 비영업용 주식보유액 100, 비영업용 부동산 100을 보유하고 있으면, 이 회사의 기업가치(Enterprise Value)는 1,300(=1,000+100+100+100)이 되는 것입니다. 그리고, 그 회사가 현재 차입금 200을 갖고 있다면 이 회사의 지분가치(Equity Value)는 1,200(=1,300-200)이 되는 것입니다.

DCF 유의점

  1. DCF는 sellor편향적 일 수 있습니다. DCF를 통한 기업가치 평가는 상대가치 평가와는 다르게 시장 성장성에 대한 추정, 경쟁 환경에 대한 이해, 기업 성장성에 대한 추정 뿐만 아니라, 여러 복잡한 재무적 지표를 요합니다. 보통, 그렇게 까지 세부적인 데이터를 갖고 있는 것은 sellor본인 뿐이며, 이에 따라 sellor편향적인 가치평가법이라고 할 수 있습니다.
  2. DCF를 시행하기 전에는 시장, 경쟁, 기업환경에 대한 충분한 input이 필요합니다. DCF에서 가장 중요한 작업은 미래의 매출, 비용, 투자를 추정하는 것인데, 이러한 추정은 due dilligence(기업 실사)없이는 불가능합니다. 따라서, 기업 실사 후에 시장과 경쟁환경, 기업에 대한 적절한 사업적 이해를 바탕으로 DCF를 시행하여야 설득력있는 미래값을 추정할 수 있습니다.
  3. DCF는 복수개의 시나리오를 통한 범위값이 선호됩니다. 기업가치 평가에 정답은 없습니다. 곧, 정확한 가치는 존재하지 않습니다. 따라서, 하나의 추정값보단 복수개의 시나리오에 따른 복수값을 통해 범위를 산출하는 방법이 적절합니다.

전체 계산 플로우

  • 영업가치의 계산
    • NOPLAT 계산
    • FCF 계산
    • 미래 FCF의 추정
    • 잔존가치 계산
      • WACC 계산
      • CAPM 계산
  • 비영업가치의 계산
  • 부채 및 부채등가물 계산
  • 시장가치(MV) 계산

(1) 잉여현금흐름(Free Cash Flow, FCF) 계산

FCFF vs. FCFE

DCF를 통한 가치평가는 2가지 방법이 있습니다. 하나는 기업가치 측면에서의 평가법(Free Cash Flow for Firm; FCFF)이며, 다른 하나는 주주가치 측면에서의 평가법(Free Cash Flow for Equity; FCFE)입니다. 두 방법에 차이가 나는 이유는 바로 부채때문입니다. 부채를 제외하고 순수하게 주주의 입장에서 기업 가치를 추정하면 FCFE, 부채를 고려한 기업 전체의 가치를 추정하면 FCFF가 됩니다.
 
이러한 개념적 차이에서 출발해 FCFF, FCFE 추정방법은 큰 틀에서는 비슷하지만 부채와 관련된 개념에서 차이가 발생하게 됩니다. 어떤 차이가 발생하는지는 각각의 방법을 자세하게 살펴보고 얘기해보는 것이 좋겠습니다.

FCFE는 부채상환 측면을 제외한 주주측면에서만의 현금흐름

FCFF와 달리 FCFE는 이자비용, 부채상환의 측면에서 매기의 현금흐름 계산이 달라집니다. 기존에 다루었던 영업이익, 운전자본변동, 비현금비용, 자본적지출은 이전 포스팅을 참고하시면 됩니다.
 
이자비용과 부채상환은 같이 생각해볼 수 있는데요, 현재 기업이 가지고 있는 부채, 앞으로 추가적으로 가질 부채에 대한 분석이 이루어지면 됩니다. FCFE에서 부채부분이 추가된 이유는 채권자에게 귀속되는 부분을 제외하고 주주귀속부분만을 추출해야 하기 때문에 고려해주는 것입니다.
 
정교하게 이루어진 DCF라면 이론상 FCFE, FCFF 어떤 방법을 사용하든 목표주가가 같게 나옵니다. 왜냐하면 FCFE를 통한 주가={(영업이익-이자)-세금+현금흐름표상 조정-부채상환+비영업가치}/유통주식수 이고, FCFF를 통한 주가={(영업이익-세금+현금흐름표상 조정)+비영업가치-타인자본가치}/유통주식수 이기 때문입니다. 부채 상환에 의한 현금유출을 시작부터 계산해주느냐(FCFE) 혹은 나중에 제해주느냐(FCFF)의 차이일 뿐인거죠.  

  • FCFF를 통한 DCF계산의 결과값 = EV
    • EV = MV - NetDebt이기 때문에 MV를 구하기 위해선 DCF의 결과값에서 NetDebt를 제해주어야할 필요있음
  • FCFE를 통한 DCF계산의 결과값 = MV

본 포스트에서는 FCFF로 DCF를 계산

DCF를 구하기 위한 첫 번째 단계는, 우선 FCF의 계산입니다. FCF란, 운영비용, 고정 자산, 운전 자본에 대한 투자 지출을 마무리한 후, 채권자와 주주에게 분배할 수 있는 현금 흐름을 말하며 다음과 같은 식으로 나타낼 수 있습니다.  

세후영업이익
+감가상각비
-운전자본변동(net working cost) = - 현・예금외 유동자산 + 유동부채
-자본적지출(CAPEX: 설비투자비용)
-------------------------------------------------------
잉여현금흐름(Free Cash Flow, FCF)

잉여현금흐름(Free Cash Flow, FCF) = EBIT×(1-t)+(감가상각비)-(고정자산 및 운전자본 투자지출)

*현금흐름은 재무적관점 이기때문에, 회계적관점에서 쓰여진 대차대조표에 나오지 않는 변수들이 나옴

 
EBIT(Earnings Before Interest and taxes)에 무형 감가상각비를 더한 EBITA에서 시작합니다. 유형 감가상각비는 영업과 관련된 차감 항목이므로 가산하지 않습니다.
 
다음은 세후영업이익(NOPLAT)을 구해줍니다. EBITA에서 세금까지 계산하면 영업과 관련한 온전한 영업 실적이 계산됩니다. 엄밀히 계산하면 Tax는 영업과 관련있는 한계세율이 되어야하므로, 일반적으로 당기순이익에 곱해지는 세율과는 차이가 발생합니다.
 
둘째로 순운전자본변동을 제외해줍니다. 운전자본이란 영업활동에서 발생되는 자산과 부채의 총칭으로, 매출 (판매)를 통해 발생하는 매출채권 (받을 돈) 및 생산/판매로 인해 보유 중인 재고자산이 대표적입니다. 반면에, 영업활동으로 인한 부채는 매입 (구매)을 통해 발생되는 매입채무 (갚을 돈)가 있습니다. 이러한 자산 및 부채는 받을 돈은 회수하고, 줄 돈은 지급하고 하면서 현금이 들어오고 나가게 됩니다. 즉, 이러한 자산 및 부채의 변동금액은 실제로 현금이 움직인 것입니다. 이러한 움직임, 변동량을 현금흐름에 포함시키는 이유입니다. 현금과 예금은 영업활동과 직접적 관련이 없으므로 운전자본으로 인식하지 않습니다. 순운전자본은 일반적으로 (현・예금 제외 유동자산-비이자채무)를 의미합니다. 언어적인 정의로는 영업활동과 직접적으로 관련되며 당기순이익에 영향을 미치지만 실제로 현금흐름을 발생시키지 않는 항목들을 의미합니다.

 

dcf에서 사용하는 운전자본의 정의 = (재고+매출채권) - 매입채무

 

순운전자본변동이란 운전자본의 증감값을 의미합니다. t+1기의 (운전자본t+1)에서 t기의 (운전자본t)를 뺀 증감값이 순운전자본변동이 됩니다.(운전자본변동=(t+1기 운전자본)-(t기 운전자본))

 

정의는 이정도로 이해가 되셨으리라 생각되는데, 현금흐름을 구하는데 왜 순운전자본을 빼주는지 이해가 힘드실 겁니다. 먼저(-)운전자본변동= -(현・예금외 유동자산증감 - 유동부채증감) = -현・예금외 유동자산증감 + 유동부채증감으로 나누어 생각해보겠습니다. 간접법으로 현금흐름 표를 작성할 때 아래와 같은 방식으로 작성합니다.

위의 간접 현금흐름표 작성처럼, 자산의 증가는 자산을 구매로 인한 현금흐름의 (-)를 의미하게 되고, 부채의 증가는 부채 차입으로 인한 현금흐름의 (+)를 의미합니다. 즉, 현금흐름의 입장에서 자산의 증감은 현금흐름과 (-)방향으로 움직이고, 부채의 증감은 (+)방향으로 움직이게 됩니다. 이것이 현금흐름을 구하기 위해, NOPLAT(세후영업이익)에서 순운전자본변동을 (-)해주는 이유입니다.
 
셋째로 비현금비용을 더해줍니다. 대표적으로 감가상각비가 있습니다. 감가상각비도 운전자본항목과 유사하게 당기순이익에 -이지만 실제로 현금의 유출은 없기 때문에, 회계상으로는 손실에 해당하는 감가상각비를 가산합니다. 추정방법은 과거 유,무형 자산의 상각률 추이와 추가적인 자산 취득액 수준을 바탕으로 감가상각비를 구해줍니다.  

마지막으로 자본적 지출을 제외해줍니다. 운전자본이 영업활동과 관련된 현금흐름이라면, 자본적 지출은 투자활동과 관계있는 현금흐름입니다. 즉,자본적 지출은 설비투자와 같은 유형자산의 취득 및 처분과 관계된 현금지출을 의미합니다.기본적으로 영업활동을 영위하고 지속하기 위해서는 회사는 설비투자 없이는 불가능하죠.즉,설비투자는 회사 투자활동의 중요한 부분이고,투자활동을 위한 현금지출의 상당부분을 차지하고 있어 중요하게 고려되어야 하는 현금흐름 중 하나입니다. 자본적 지출은 회계처리에서는 현금을 유출시키고 그만큼 자산을 늘려 당기순이익에 아무런 영향을 미치지 않습니다. 고정자산 지출은, EBIT의 계산에 포함되어 있지 않기 때문에 현금지출이 있는 것으로 가정하여 차감합니다.

※자본적 지출: 자본적 지출로 발생한 감가상각 일부가 손익계산서에 반영되지만, 자본적 지출로 인한 현금흐름이 온전히 손익계산서에는 표현되지 않기 때문에 CAPEX분은 따로 계산해야할 필요가 있음(https://valuefactory.tistory.com/1276)

 
각각의 항목들에 대한 가정을 바탕으로 엑셀을 작성해주면 각 기의 현금흐름을 구할 수 있습니다.

(2) 잔존가치(Terminal Value, TV) 계산

잔존가치(TV)란, 계속 기업의 가정(Going-Concern Assumption, GCA)을 적용할 때, 기업의 가치를 의미합니다. 이번의 예에서는 2020년 2021년 2년분의 FCF를 구하고 2022년은 잔존가치 계산을 통해 기업가치를 판단합니다.

 
성장률은 FCF의 성장률에 해당하며, 장기적으로 볼 때 업계의 성장률 내지는 거시 경제 성장률에 수렴할 것으로 예상되지만, 성장률은 변수에 따라 불확실성이 높기 때문에, 가능한 한 보수적으로 산정을 하는 편이 좋습니다. 그렇다면, 실제로 계산을 해보도록 하겠습니다.  

FCF의 산출

 
할인율: 5.2%, 성장률: 0.1%로 가정했을 경우, 2022년 이후, A 기업의 2022년 이후 잔존가치는 (Terminal Value, TV) = FCF x(1+성장률)÷(할인율-성장률)이므로, TV = 2,000 x(1+0.001)÷(0.052-0.001) = 39,255.

잔존가치를 계산할 때, 특히 성장율 g를 어떻게 산정할 것이냐에 따라 잔존가치가 크게 변동합니다. 따라서 실무에서는 5년간은 FCF를 구하고, 잔존가치로써 업계의 평균 EV/EBITDA멀티플에 EBITDA를 곱해 산출된 EV를 사용하기도 합니다.

(3) 가중 평균 자본 비용 (Weighted Average Cost of Capital, WACC)계산

일반적으로, 기업의 재무 실적을 평가할 때는, 사업에 투자한 자산의 이익률이 자본 비용을 얼마만큼 상회했는지를 기준으로 합니다. 투자된 자본 대비 투자자(채권자 및 주주)가 요구하는 기대 수익률을 자본 비용이라고 합니다. 즉, 기업 전체의 자본 비용은, 주주가 기대하는 주주 자본 비용과, 채권자가 요구하는 채권자의 기대수익률인 부채 비용으로 구성됩니다. DCF 가치평가에서는, 이 두 가지의 비용으로부터 도출되는 가중평균 자본비용(Weighted Average Cost of Capital, WACC)이 널리 사용되고 있습니다. 이를 식으로 나타내면, 다음과 같습니다.

가중 평균 자본 비용(WACC)

  • Rd : 부채 비용(세전), Re : 주주 자본 비용, T: 실효세율, D: 유이자 부채 E: 주주 자본
  • Equity: 소수주주ㅡ 우선주식등을 모두 포함합니다.
  • Debt: 은행차입, 사채, 파이낸스 리스 등 유이자부채. 이에 더해서, MV계산시 Debt like item을 고려할 경우에는, WACC계산시에 Debt like item도 Debt로 포함시킵니다.
  • Rd: 부채비용은 회사채 금리로 계산합니다.
    ※ Debt like item: 퇴직금충당금과 같이 부채가 아닌 계정이지만 사실상 부채에 해당하는 자산항목을 의미

부채 비용(Rd)에서는, 절세효과를 가치에 반영시키기 위해 부채 비용(Rd)에 (1-T(실효세율))을 곱해줍니다. 한편, 주주 자본 비용(Re)은 자본 자산 평가 모델(Capital Asset Pricing Model, CAPM)에 의해서 계산하는 것이 일반적입니다. 이는, 주주가 기업에 기대하는 요구 수익률이라고 생각하면 될 것 같습니다. CAPM의 공식은 다음과 같습니다.  

자본 자산 평가 모델 (CAPM)

먼저 CAPM의 세부적인 산출은 다음의 포스트를 참고해주십시오. (CAPM 산출법)본 포스트에서는 간단한 CAPM의 산출법에 대해서만 다룹니다.

Re: 주주 자본 비용, Rf: 무위험 이율, Rm:시장 전체 기대 수익률, Rm-Rf: 시장 위험 프리미엄, β: 주식의 시장 민감도

CAPM을 통해 자기자본비용을 구하려면 Rf, Beta, Rm 3가지가 필요하겠습니다.
Rf는 일반적으로 국고채 3년물 이자율을 많이 사용합니다. 한국은행 경제통계시스템(http://ecos.bok.or.kr)에%EC%97%90) 들어가면 바로 알 수 있습니다.
 
동종업계의 베타를 가져오는 경우, 자본구조에 따른 조정이 필요합니다. 자본구조가 반영된 베타를 Bl(Leveraged Beta), 자본구조 효과를 제거한 베타를 Bu(Unlveraged Beta)라고 합니다. 구제적인 베타에 관해서는 다음 포스트를 참고해주세요.(베타의 산출)
 
마지막으로 Rm, 혹은 리스크 프리미엄(Rm-Rf) 구하기입니다. 우리가 미국주식을 연구하는 경우 'S&P 500수익률 - 무위험이자율'로 간단하게 구해줄 수 있습니다. 하지만 한국주식의 경우 S&P 500수익률에 국가별 조정을 해주어야 합니다. 국가에 따른 리스크를 나타내는 지표로 CDS Spread가 있습니다. 신용디폴트스왑으로 손실을 다른 투자자가 대신 보상해주는 파생상품인데요, 스프레드 수치를 이용해줍니다.  

하지만 신용디폴트스왑은 채권에 해당하기 때문에 채권-->주식 조정을 위한 추가적인 조정이 필요합니다. 이 경우 Market Equity Index 표준편차 대비 BAML Emerging Public Bond Index의 표준편차 비율을 이용해 구해주면 됩니다. 즉 채권 대비 주식의 변동성이 몇 배인지를 확인해서 스프레드에 곱해준다고 생각하시면 됩니다.
 
무위험 이율은 통상, 리스크가 없는 10년물 국채의 이율을 사용하는 경우가 많습니다. 주식의 시장 민감도인 β는, 개별 주식의 주가 변화와 주식 시장 전체의 변화의 상관관계를 나타냅니다. 즉, β가 높을수록, 주식의 시장 민감도가 높고, 주가 변동 리스크가 높다고 할 수 있습니다. 여기에서, Rd: 4%, Re: 10%, T: 30%, D: 1000, E: 1200라고 가정했을 경우, WACC 공식에 의해, WACC = 0.04 ×(1-0.3) ×((1000)÷(1000+1200))+0.1 ×((1200)÷(1000+1200)) = 0.0127+0.0545=0.0582 = 6.72%

(4) FCF 및 TV의 현재가치 계산

또한, DCF 가치평가에서는 미래 현금 흐름의 현재 가치를 고려해야만 합니다. 현재 가치란, 미래의 어떤 시점의 돈이 현시점의 가치로 나타내면 얼마가 될 것인가 하는 것과 관련이 있습니다. 예를 들어, 시중 금리가 5%라고 하면, 3년 뒤에 유입이 기대되는 10만 원의 현재가치는 다음과 같이 계산할 수 있습니다. 10만 원÷1.05÷1.05÷1.05=8.64만 원. 이와 유사하게, DCF 가치평가에서는, 지금까지 계산한 FCF, TV를 WACC를 이용한 현재가치로 할인해서 최종 기업 가치를 구할 수 있습니다. 1900/(1.0582) = 1780, 1200/(1.0582)^2 = 1054, 39255/(1.0582)^3 = 32297

(5) 비영업가치(Non-Operating Asset;NOA) 더해주기: EV = 영업가치(DCF산출가치) + 비영업가치

EV = 영업가치 + 비영업가치, EV = MV + netDebt

EV는 어떻게 나누냐에 따라 여러 산식으로 표현될 수가 있습니다. 자본 구성에 따라 EV를 나누면 EV = MV + 순부채로 표현될 수 있으며, 영업가치를 기준에 따라 나누면 EV = 영업가치 + 비영업가치로 표현될 수 있습니다. DCF에서 구한 가치는 영업가치에 해당하는 수치(순영업가치)입니다. 따라서, 비영업가치를 더해주어야 총 기업가치가 산출 됩니다. 대표적인 비영업가치에 해당하는 계정으로는 초과보유현금(총 보유현금의 얼마만큼을 초과보유현금으로 볼지는 이론의 여지가 있음), 유가증권, 투자부동산이 있으며 그 외에도 중단사업매각예정자산, 회원권, 기타이연법인세자산 등이 있습니다.

(6) 타인자본가치NET-DEBT를 빼주기: EV = MV + NetDebt

영업가치에 비영업가치를 더해주었으면 이제 시장가치 MV를 구할 차례입니다. 이를 위해서 전체 기업가치 중 주주가치는 얼마나 차지하는지를 구하는 과정이 필요합니다. 타인자본가치는 크게 4가지로 구성됩니다. 금융부채(Interest-Bearing Debt;IBD. 채권자에게 지급해야 할 모든 부채들을 의미합니다.), 운용리스, 충당부채(퇴직급여부채 등 부채성 항목으로 볼 수 있는 것들을 포함합니다.), 우선주(보퉁주주와 비교했을 때 부채의 성격에 가깝기에 포함합니다.), 우발채무(법정에서 패소가 유력해 발생할 것으로 예상되는 부채 등 장래 일정 조건 충족시 채무가 발생하는 불확정 채무를 의미합니다)가 있습니다. 타인자본가치들을 현재가치합으로 옮겨서 빼주시면 됩니다.

출처

+ Recent posts