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Pipenvを使ったPython開発まとめ
はじめに
今年は複数人でいっしょにPythonを使って開発を行う機会があったのですが,そのときに導入したPipenvがいい感じでしたので一通りの基本操作についてまとめてみようと思います.個人での開発でも有効だと思いますが,複数人で開発するときに便利かなと感じたところも多かったので,そういう視点も入れながらまとめてみました.
※個人的にチームでの開発でよかった内容にをつけています.
Pipenvとは
Pythonで開発するときに,プロジェクト毎のパッケージ管理や仮想環境の構築を簡単に自動で行ってくれるツールです.Node.jsのnpmなんかを使ったことがあればイメージがわきやすいと思います.
パッケージのインストールならpip,仮想環境の構築ならvirtualenv(venv)を使えば対応できますが,pipenvはそれらをまとめてより簡単に扱えるようにサポートしてくれます.またnpm-scriptsのようにコマンドに名前をつけて登録することもできます.
Pipenvのインストール
Pipenv自体のインストールはpipから行えます.簡単ですね.
$ pip install pipenv
Pipenvの使い方
Pipenvの基本的な使い方を順にまとめていきます.この記事を書いたときの手元の環境は次の通りです.
- Windows 10 Pro,Debian 9
- Python 3.7.1
- pipenv 2018.11.14
初期化
まずは新規のプロジェクトの初期化方法です.
プロジェクトのディレクトリに移動して次のコマンドを実行すると,自動で仮想環境が作成されてPipfile
というファイルが生成されます.Pythonのバージョンの指定は3.7
など,より詳細に指定もできます.
$ pipenv --python 3 # Python3系で初期化する例です
またpyenvを使用している場合は,環境に入っていないバージョンを指定したときにはpyenvと連動してPythonのインストールが自動的に行われます.
$ pipenv --python 3.6
Warning: Python 3.6 was not found on your system…
Would you like us to install CPython 3.6.7 with pyenv? [Y/n]: y
Installing CPython 3.6.7 with pyenv (this may take a few minutes)…
⠦ Installing python...
パッケージのインストール
パッケージのインストールは次のように行います.このときも(まだ作っていなければ)仮想環境が自動的に作られて,そこにパッケージがインストールされます.またpipenvからパッケージをインストールするとPipfileにパッケージが追加されます.
$ pipenv install numpy # numpyをインストールする例です
[packages]
numpy = "*"
またこのときにPipfile.lock
が自動で生成され,実際にインストールされたパッケージの詳細なバージョンや依存パッケージの情報などが記録されます.これをもとに他PCで環境を再現することが簡単にできます.
pipenvを使うと,このようにパッケージの管理や仮想環境の生成が自動的に行われて便利です.チームにPythonに不慣れなメンバーがいても,pipを直接使ってrequirements.txt
を更新し忘れてしまったり,仮想環境を作らずに関係のないパッケージまで管理されてしまったりを防ぐことができます.
開発用パッケージのインストール
通常のパッケージのインストールの他に--dev
オプションを使うことで,開発環境のみで使うパッケージを別枠(dev-packages)で管理しながらインストールすることができます.これを利用して開発プロジェクト内でコードの整形や静的開発の利用を促すこともできます.
$ pipenv install --dev autopep8 flake8
[dev-packages]
autopep8 = "*"
flake8 = "*"
このように開発用のパッケージを切り分けて管理できると,コードの品質向上につなげることができるパッケージをチームに布教しやすいです.(後述するScriptsも活用するとより良いです.)
requirements.txtからのインストール
Pipenvの導入前にrequirements.txt
でパッケージが管理されていた場合に,その内容からPipenvでインストールすることもできます.
$ pipenv install -r ./requirements.txt
Pipfile,Pipfile.lockから環境の再現
すでに誰かが環境を作成してPipfileがgitなどで管理されていると,他のメンバーも簡単に環境を作成することができます.
次の方法だと,Pipfileの中で管理されているパッケージがインストールされます.このときにインストールされた内容でPipfile.lockが更新されます.
$ pipenv install
$ pipenv install --dev # --devオプションで通常のパッケージの他に開発用パッケージもインストールされます
同様にPipfile.lockが手元にあり,PipfileでなくPipfile.lockから詳細なバージョンなども合わせて環境を作成したい場合は次のようにします.
この場合は,PipfileでなくPipfile.lockを使ってインストールされ,環境を再現することができます.
$ pipenv sync
$ pipenv sync --dev # 開発用パッケージもインストールしたい場合はinstallと同様に--devオプションを
上記のように既に開発中のプロジェクトに新しいメンバーが追加になっても,開発環境をコマンド一つで準備することができます.
スクリプトの登録
独自のスクリプトを名前を付けて登録することができます.npmなんかでもよく使われていると思いますが,これが個人的にはチーム開発するときにとても便利だと思います.
プロダクトのmainスクリプトのキックやUnitテストの実行,コードの整形やLintツールの実行などを登録しておけば,詳しいドキュメントをチームで共有する手間も省けますし,実際にメンバーに使ってもらいやすいという印象です.
使い方は,Pipfileに[scripts]
を用意して登録します.例えば次のような感じです.
[scripts]
start = "python main.py runserver"
test = "python -m unittest discover -v"
format = "autopep8 -ivr ."
lint = "flake8 --show-source ."
スクリプトの実行は次のように行います.
$ pipenv run start # [scripts]のstartを実行する例です
また,scriptsに登録するほどでもないPythonのコードを個別に実行するときは,次のように呼び出すことができます.
$ pipenv run python spam.py # spam.pyを仮想環境に入らずに実行する例です
仮想環境関連の操作
pipenvで作られた仮想環境へ入るには次のように行います.よく使う操作はscriptsに登録しておきたいですが,ちょっとした操作を行うときには知っておくと便利です.
$ pipenv shell
Launching subshell in virtual environment…
(mypipenv-XXXXXXXX) $ exit # 抜けるときはexit
また仮想環境のパスが知りたい場合は次のように行います.
$ pipenv --venv
C:\Users\username\.virtualenvs\mypipenv-XXXXXXXX
デフォルトではWindowsは%userprofile%\.virtualenvs
,Linuxは$HOME/.local/share/virtualenvs
以下に仮想環境が生成されます.仮想環境を生成する場所を指定したい場合には,以下のように環境変数を設定します.
$ export WORKON_HOME=~/venvs # Windowsは`set WORKON_HOME=~/venvs`
$ pipenv --python 3 # ~/venvsディレクトリに仮想環境が生成される
またプロジェクトのディレクトリに仮想環境を作成したい場合は以下のように環境変数を設定します.
$ export PIPENV_VENV_IN_PROJECT=true # Windowsは`set PIPENV_VENV_IN_PROJECT=true`
$ pipenv --python 3 # ./.venvディレクトリに仮想環境が生成される
仮想環境を削除するには以下のように行います.
$ pipenv --rm
ちょっと高度なパッケージの管理関連
バージョンを指定してパッケージをインストールする場合は次のように行います.
$ pipenv install numpy==1.14
GitHubのリポジトリを指定してインストールする場合は次のように行います.
$ pipenv install git+https://github.com/<ユーザ>/<リポジトリ>.git@<リビジョン>#egg=<パッケージ名>
インストールされているパッケージのバージョンアップをするには次のように行います.
$ pipenv update
インストールされているパッケージの一覧を確認するには次のように行います.依存関連が分かるように出力されて便利です.
$ pipenv graph
autopep8==1.4.3
- pycodestyle [required: >=2.4.0, installed: 2.4.0]
flake8==3.6.0
- mccabe [required: >=0.6.0,<0.7.0, installed: 0.6.1]
- pycodestyle [required: >=2.4.0,<2.5.0, installed: 2.4.0]
- pyflakes [required: >=2.0.0,<2.1.0, installed: 2.0.0]
- setuptools [required: >=30, installed: 40.6.2]
numpy==1.15.4
.envの自動読み込み
プロジェクトに.env
ファイルを用意しておくと,pipenv run
やpipenv shell
を実行するときに自動で読み込んでくれます.ハードコーディングするにはまずい内容やローカルのテスト環境ならではの設定を登録しておくと便利です.
DEBUG=1
$ pipenv run python
>>> import os
>>> os.environ['DEBUG']
'1'
おまけ
pipenvでinstallすると次のように蛇の絵文字が表示されます.(絵文字が表示できる環境で見ましょう.)
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